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S14  シルビア F,Rロアアーム 延長

スタンスに出場するために、前後のキャンバーをもっとつけたいとの

御依頼を受けました。

ちなみにこの車両は一時抹消されていて、ナンバーが有りません。

フロントはピロアッパー全開、リアはキャンバー調節できるアッパーアームに交換されていて、

やはりこちらも全開です。

昭和生まれの僕にとっては「これだけキャンバーついてればいいじゃん」と思いました。

ですが価値観は人それぞれ違います。

​弊社はお客様のご要望のクオリティーをプラスαでご提供させていただいております。

今までやったことがないので、車両をリフトアップしてしばらく思案。

だんだんイメージがわいてきました。

​製作コンセプトは

「エレガントに。!スタイリッシュに。!   スポーティーに。!」

お客様は、20mm延長をご希望でした。

​ロアアームを高速カッターで切断すると3mmの切代ですので、

シャーリングで幅23mm  厚さ 3mmのフラットバーを切り取ります。

どうやら、ただ延長だけではなく、ボールジョイントを数mmオフセットさせるらしいです。

延長するパーツを1 PIECEで製作しようと考えていましたが、

形が複雑になり、結局3 PIECEでの​製作です。

オフセット

実はここ近年、老眼の為TIGはほとんど使わずにもっぱら半自動での溶接ばかりでした。

そんな僕にマイト工業さんが老眼鏡内蔵の遮光面を出してくれました。

デモで使わさせてもらったら「見える。! 見える。!」

即、買いました。

​そんなこんなで、今回は仮付け以外はオールTIGでやってみたいと思います。

ここの R の表現がちょっとコツがいります。

2年間のブランクはかなりでした。

​主電流、パルス幅、パルス周波数などいろいろ調整しながら1本目溶接終わり。

ブランクがあるので端材で練習してからすればいいものを、鉄の3mm、パルスの共付けなので、なめてかかってぶっつけ本番が間違いのもとでした。

​ま~だいたい初回はこんなもんで回数が増えればそれなりになってきます。

あと、このTIGはダイアルが小さいので、ほんの少し動かしただけでかなり変わります。非常に不便です。

フルデジタルはそんなことが有りません。

2本目、やっと調子が出てきました。

​めったにTIGは使わないので「ウロコ」がなかなか出せません。

ご注文はお早めに。今のうちですよ。

ここからがお客様の求めるクオリティー+αです。

今回のロアアーム延長の為に仕入れた 3 X 6 板 t 2mmの鉄板を事前にシャーリングで切り出しておいたのを

コンタを使って裏の補強パーツを切り出します。

​38年前、高校の授業で使ったコンパスセット。いまだに現役です。

裏の補強パーツにスタビリンクの穴を開けたいんですが、

複雑な角度でなかなかセンターが出せません。

​ちょっと作戦タイム、、、。

旋盤で M10  全長約50mmのボルトに3,2mmの穴を開けます。

穴を開けたボルトをドリルガイドにして、センター下穴を開けました。

溶接するパイプは外径60.5mm  t 3.2mmの鉄です。

​ホールソーで穴を開けます。

ホールソーの中に残った円盤がなかなか取れないので、3.2mmの穴を開けてこじって取りました。

センターは良いのですが、ロアアームの形状が複雑でロアアーム側の削りが、なかなか時間がかかります。

​この時点で材料変更。3.2mm厚のパイプはやめました。

ステンは薄肉がありますが、削るのに時間がかかります。

なにか無いかな?

有りました。

ヨシムラ GSX750用 サイレンサーです。

外径は63mm。

​さすがヨシムラ。規格外のサイズです。

60.5mmの穴を63mmに拡大です。

リューターは刃先が跳ねるのでサンダーがお勧めです。

​もう小さくて使えなくなった砥石がちょうどありました。

こんな複雑な形状でした。

2個目は左右対称なのでテープでラインを頂いて、裏返しで貼り付けます。

​かなりの時間短縮です。

こんな加工を施して。

2枚目は早いです。

ブッシュを抜かずに溶接なのでこの部分は半自動です。

​1回1回アークを飛ばしてすぐさま水で冷やします。

このあたりからアースクリップが、どっちがどっちだか解かりません。

​ちなみに、半自動のことを MIG と呼ぶ人がいますが、それは間違いです。

MIG   メタル イナート ガス―――半自動のアルミ溶接。シールドガスはアルゴン100%。

MAG  メタル アクティブ ガス――母材、溶接ワイヤーが鉄でシールドガスが

                                                     アルゴン80% Co2 20%の混合ガス。スパッタが少なくなり、溶け込みが深くなります。

Co2溶接ーーーーーーーーーーーーー母材、溶接ワイヤーが鉄でシールドガスがCo2   100%  緑のボンベ。

ボンベについては

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%99   御参照ください。

溶接、終了です。

わざわざシームの所を使わなければいいのに、、、。

補強パーツ全周は棒を入れました。

2個作っても「ウロコ」が出せません。

​2年のブランクはかなりです。

塗装の下準備です。結局ブラストが一番早いです。

事前にチーフメカニックが延長したFロアアーム 合計4本を840R  エポキシサフで錆止めをします。

いつものことです。

サフを乾燥させている時にお客様がいらっしゃいました。ベストタイミングです。

チーフメカニックと色を相談しています。

​なにやら物騒な会話が聞こえてきました。

        ↑ これで全体を染めて         ↑ これをクリアーに8%混ぜて、

先端から半分くらい塗って、グラデーションのようにして、最後に全体にクリアーを吹いてと

チーフメカニックからの指示です。

​そんなアクロバット、やったことがありません。

ここまでは許せます。

せっかく老眼鏡入りの遮光面、買ったのに。

オールTIGでやったのに。

スタビのバーの逃げも作ったのに。

​ホールソーで軽量化したのに。

アクサルタの840R塗ったのに。

アクサルタのベースとクリアー塗ったのに、、、。

​「エレガントに。!スタイリッシュに。!   スポーティーに。!」はどこに行ったの?

​昭和生まれはついて行けません。

お客様は大変喜んでおられましたが、、、。

こんなにはみ出して、、、。

一時抹消車だからいいものを。

​公道走ったら弊社は終わりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

​積載車で運びました。

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